オーバーナイト透析とは?適応条件・メリット・注意点・効果・まとめ

透析室

オーバーナイト透析ってどういう治療なの?普通の透析とどう違うの?


そんな疑問にお答えします。


こんにちは、スーパー臨床工学技士のyoshiです。


オーバーナイト透析をしている施設ってまだまだ多くはありません。


そこで、当院でしているオーバーナイト透析を紹介したいと思います。

オーバーナイト透析とは?

オーバーナイト透析とは、夜から明け方までの寝ている時間を利用して透析をすることをいいます。


別名、深夜透析ともいいます。


寝ている時間を利用して透析をするので、8時間程度の間治療をすることができます。


長い時間透析することができるので、十分な毒素の除去や血圧の安定化、時間あたりの除水量の緩和などが期待できますよ。

オーバーナイト透析の適応条件

誰でもかれでもオーバーナイト透析ができるわけではありません。


オーバーナイト透析の第一前提として、安全に透析をすることです。


そのため、オーバーナイト透析をする患者さんには、いくつか適応条件があります。

当院でのオーバーナイト透析の適応条件

・普段の透析中に血圧低下などのイベントがないこと

・自己管理ができていること

・循環器疾患がないこと

・シャントのトラブルがないこと

・仕事をしていてオーバーナイト透析を希望しているetc


当院では、こんな感じで適応条件を決めています。


自己管理ができているというのは、過剰な体重増加がない、自宅で血圧測定をしている、入室時間を守れるなどです。


適応条件を決めておかないと大変なことになりますので、少し厳しめに設定しています。

オーバーナイト透析のメリット

オーバーナイト透析のメリットを紹介します。

これがオーバーナイト透析のメリット

・仕事との両立ができる

・寝ている間に透析ができる

・食事量の制限が緩和される

・徐水量が低い(マイルドな透析)

・毒素の除去率アップ

・血圧の安定化etc

オーバーナイト透析の注意点

メリットばかりではありませんよね。


いくつか注意点もあります。

オーバーナイト透析の注意点

・高効率の透析になる場合がある

・安全対策の強化が必要

・適応条件が少し厳しめ

・スタッフと患者さんとのコミュニケーションがやや不足がちになるetc


8時間程度透析をするので、高効率の透析になる場合があります。


当院では、過去に患者さんのP値が低くなりすぎたことがあったので、血液流量をダウンしたりダイアライザの膜面積を小さくしたりなど、透析条件を変更したことがありました。


栄養士からの食事面の栄養指導もしましたね。


こういうケースもあるので、最初の方は採血データの確認や患者さんへの聞き取りなども重要となってきます。

ここがすごい!オーバーナイト透析の効果

オーバーナイト透析の効果はすごいですよ。


ここでは当院でオーバーナイト透析をしている患者さんの実際の声を紹介しますね。

患者さんの声

・透析中は寝ているので体感時間は30分〜1時間程度にしか感じない

・開始時間が遅いので残業ができたり家族と一緒に食事ができる

・食事制限が緩和されることで好きなものを食べることができる

・中2日のきつさや倦怠感がなくなった

・体調が改善しているのが実感できている

寝ていて危なくないの?オーバーナイト透析の安全対策

オーバーナイト透析が始まると患者さんがいるフロアの電気を消して、スタッフは隣のフロアで待機をします。


患者さんが寝ている間は、1時間毎の巡回と機器のチェックをしますが、血圧測定などはしません。


スタッフも少ないです。


ここで疑問に思うのが、危なくないの?安全対策はどうなってるの?ってことです。


そこで当院での安全対策を紹介します。

オーバーナイト時の安全対策

・回路針先の先端に漏血センサーを装着している

・シャント肢を包帯固定している

・ベッド柵をしている

・BV計でモニタリングしているetc


当院ではこんな感じで安全対策をしています。


特に抜針には最新の注意をしています。


針先にはニプロ社製の漏液検知器の見針絆を使用しています。


この見針絆は透析用抜針のために作られたもので、ものすごく優れている検知器なんですよ。


針先からの血液のにじみがあったときに警報音を発しておしえてくれますよ。


このニプロ社製の見針絆オーバーナイト透析時や体動が多い患者さん、自己抜針をするような患者さんに使っています。


さらに包帯固定をして、抜針対策を強化しています。


ベッドから落ちないようにベッド柵もしていますが、患者さんの寝返りなどは思ったほどないようです。


BV計では濃縮をモニタリングしていますが、基本的に徐水量が緩やかなので危険な濃縮率にはなりません。


オーバーナイト透析では、安全対策の強化がかなり重要となってきます。

オーバーナイト透析のまとめ

当院でのオーバーナイト透析を紹介しました。


寝ている間に透析をするオーバーナイト透析は、メリットも多くありますが適応基準の設定や安全面の強化、高効率透析にならないなど注意する点もあります。


しかし患者さんにとっては、QOLを向上させるすばらしい治療だと思います。


最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

以上、yoshiでした。

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