透析患者の採血データは何を見ればいいんだ?
こんな疑問にお答えします。
こんにちは、スーパー臨床工学技士のyoshiです。
透析患者の採血データ、見る項目が多くてどこを見ればいいのかよくわりませんよね?
結論からいうと、採血データで見るポイントは5つです。
①カリウム(K)
②尿素窒素(BUN)
③リン(P)
④アルブミン(Alb)
⑤β2ミクログロブリン(β2-MG)
まずはこの5つの項目を重点的に見るといいと思いますよ。
一つずつ説明していきますね。
透析患者の採血データその①カリウム(K)
5.5mEq/L以下
カリウムは筋肉や心筋の調整や神経伝達に関わる電解質です。
また腎臓でナトリウムの再吸収を抑制し、尿中へ排泄する働きもするので、血圧を下げる作用もあります。
カリウムが上昇することで起こる高カリウム血症は、不整脈やしびれといった症状を引き起こします。
カリウムが7.5〜8.0mEq/L以上になると致死性の不整脈が起こる場合もあるので注意が必要
透析患者の採血データその②尿素窒素(BUN)
70〜90mg/dl以下
タンパク質が分解されるとアンモニアになり、さらに尿素へ分解され最終的に腎臓でろ過されて尿として排出されます。
しかし、腎機能が低下すると尿素は腎臓でろ過することができずに体内へ残ってしまいます。
それが尿素窒素(BUN)です。
通称、ブンです。
尿素窒素は、透析効率を見る上で重要な項目です。
尿素窒素が除去できていると、いい透析ができているという判断にもなります。
標準化透析量のKt/V(ケー・ティー・オーバー・ブイ)は、尿素窒素から算出することができます。
透析時間が不足している
透析患者の採血データその③リン(P)
3.5〜6.0mg/dl
リンはミネラルで、その80%以上が骨や歯を作る成分で残りが筋肉や神経などの組織に含まれています。
リンは食べ物にも多く含まれているので、リンが高いと食事もできているという見方もありますね。
透析患者の採血データその④アルブミン(Alb)
3.5g/ml以上
アルブミンは栄養状態の重要な指標の一つで、アルブミンの値が高いと食事ができている、低いと栄養状態が悪いという目安になります。
透析患者の高齢者は栄養状態が悪い人も多く見られるので、アルブミンの値も低い傾向にあります。
アルブミンが低く栄養状態が悪い患者には、医師、看護師、管理栄養士、臨床工学技士などが中心になって活動する栄養サポートチーム(NST)が介入することもあります。
透析患者の採血データその⑤β2ミクログロブリン
最後は、β2ミクログロブリンです。
30mg/l以下
β2ミクログロブリンは、透析アミロイドーシスの原因でβ2ミクログロブリンが骨や関節に沈着することで起こります。
沈着したβ2ミクログロブリンは、アミロイドという物質になり、このアミロイドが骨や関節の痛み、運動障害を引き起こします。
この状態をアミロイドーシスといいます。
β2ミクログロブリンはアミロイドーシスの予防のためにも除去したい物質の一つです。
では、どうしたら除去することができるんでしょう?
①透析では分子量が大きいため膜面積が大きいダイアライザを使う
②6時間透析といった長時間透析を行う
③オンライン透析を行う
膜面積が大きいダイアライザは、アルブミンの損失もあるためアルブミン値の観察も注意が必要です。
また膜面積が大きいと透析液が血液側に逆流するいう報告もあるようなので、透析液の清浄化は必須となります。
透析患者の採血データのまとめ
いかがだったでしょうか。
透析患者の採血データの見るポイントを紹介しました。
もっと見るところはあるんですが、まずはこの5つから覚えていきましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
以上、yoshiでした。
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